mes récits

ソドムの西

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ジャノム《若者》(1)

 「追放されて以来か。」
 思わずもと来た道を振り返へる。
 「はじめて宿に泊まれるな。」
 心地よい寝台を想う。
 涼しい目許に穏やかな微笑が浮かんだ。少しずつ大きくなる陋街のシルエットを眺め・・・・歩調も速まる。陋街までの道のりは思ったより身近いものだった。城壁が大きな影となりSUKEの全身を呑み込んだ。嘆息一つ洩らし呟いた。
 「・・・・やっと着いた・・・・。」
 城壁の中央には大道無門そのまま、屈託無い羅馬調の門構えが見開いた。城門を両脇から縁取って聳え立つのは巨大な二本の菩提樹。飴色に僅かに色付きはじめた葉叢は眩しく夕日を照り返し、静かな秋の佇まいを城壁に漂わせている。若者の口許に吐息に安堵の微笑が漂ったその刹那だった、
 「・・・・・・・!」
 椿事がそこで生じた。光条が一瞬鋭く屈折する。菩提樹の葉叢が掠れる。夕靄が騒わつく。若者の形象がユゥラリ揺らめくのと、夥しい砂塵が舞い上がるのは同時だった。菩提樹一本が大音響と共に倒れ込んで・・・・男の姿はたちまち視界から消え去った。
 「フン、噂ほどにも・・・・・・?」
 砂塵が鎮まる。そこに巨大な影が現れた。だった。
 影は倒木の根本に腰を降ろすと、宙高く長大な刀を掲げた。鋭い二叉の切先が禍禍しい業物・・・・そこに銃眼を透して一条の残照が射し込んだ。忽ち刀は残照を両断する。そこに別の影が十六体、一塊になって蠢いた。
 「流石、首魁殿の斬龍刀だ。」
 「野郎から金目の物を、早速!」
 と頻りに促すなら、影の六体とは、斬龍刀を操る巨大な影の、眷属どもと知れた。
 「黙っていろ。」
 首魁は眷属共を制して立ち上がる。どうにも己の業物が気に懸かって仕方がないらしい。大影は再び眷属共を制して呟いた。
 「・・・・どうも面妖い?」
 首魁は薙ぎ倒した菩提樹を凝っと見詰めて、身じろぎ一つしない。
©gentchan_2017.(RSS/管理/提供:AL2)
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